最初のカジノは勝てなかった?負野智光がこれまでのプロ生活を語る

最初のカジノは勝てなかった?負野智光がこれまでのプロ生活を語る

【負野智光】2012年からポーカーを始め、現在はミックスゲームのプロとして活躍。自身のYoutubeチャンネルおーの塾ではポーカーにまつわるさまざまなことを配信。

プロポーカープレイヤーの人はなぜプロになり、プロになってからはどのように稼いでいるのか気になりませんか?今回は10年以上ポーカーで生活している正真正銘のポーカープロ、負野智光さんにこれまでのプロ人生について根掘り葉掘り聞いてみました。

ポーカーとの出会いから最初のカジノでのエピソードなどプロポーカープレイヤーの人生を少しでも知りたい方は是非ご覧下さい!

ポーカーとはいつ出会いましたか?

昔、京都でアミューズメント系のバー(ダーツバーやプールバー)を十何年か経営していて、ある日お客さんに「今日は何か新しい遊びしようよ」と言われポーカーを始めたのがきっかけです。

その時は、最下位が1位の人に1杯奢ったり、テキーラを飲んだりとバーの遊び方をしていましたね。そしたら一緒にプレイしていたメンバーが毎日ポーカーしにきて、さらに他のお客さんも来て、毎日のように盛り上がってポーカーをしていました。

毎日ポーカーをしているのでお店にポーカーテーブルを置く?というノリで置いて、現在のアミューズメントカジノの様に営業を始めましたね。

その時は本気で勉強をしていなかったのですが、ある日1人の子が「僕プロ目指します!海外へ行ってきます」と言って、「え、俺の方が強いのに何で?僕も行こうかな」という気持ちになり、カジノへいくことにしました。

初めてカジノへ行ったのはいつですか?

2013年に韓国へ行ったのが最初です。カジノへ行くことを決めてから、ひゃっほう掲示板とポーカー道で勉強し、オンラインで実践を重ねて実力を磨いていきました。その時ラッキーなことに、ひゃっほうさんや木原さんと知り合うことができて2人にも教えてもらっていましたね。

それにも関わらず、1回目のカジノは負けてしまいました。カジノへ行く前はPokerStarsの25NLを勝てていたので自分でもある程度強くなったと思っていたのに、初回に行った時は負けてしまい訳が分からなく、悔しかったです、、、

1回目のカジノでのエピソードなのですが、プリフロップの時、UTGでAKが来て2.5BBでオープンしたら、6人もコールをしてきて、「え、何これ?」という場面がありました。

それでフロップは、AT9が落ちて、これは勝っているのか負けてるのかよく分からない。ただAKでベットをしない訳にもいかないなと思い、ベットしたら、1人コールされて、それにレイズが来ました。流石にコールできないと思って降りたら、レイズした人はAJで、当時はその状況が全く理解できなかったです。

ここで言い訳する人は「こんなのポーカーではない」とか言うんですよ。けれど、こういう状況に一度は皆出遭います。これはあなたが知っているポーカーではないだけで、相手が下手すぎてどうしようもないと言うのは、その下手な相手よりあなたは弱いということです。

ですので、どうしたら対応ができるのか、家でシミュレーションし、どれが正解なのか自分で必死に考え、試してみるというのを2ヶ月くらいやり、2回目のリベンジに行きました。

2回目のカジノは勝つことができましたか?

2回目のカジノは1回目より完全に対応できている自分がいて、勝てましたね。ただ2回目は最終日に大きなミスをしてしまって、ちょい勝ちで終わってるんですね。そのミスをしたエピソードを紹介します。

プリフロップはHJがリンプ、CO、BTN、SBがコールして僕はBBで77を持っていてチェックを選択しました。

フロップが79Tでツークラブ、ボトムセットで強いけど少し不安という状況でベットをしたら3人がコールしました。

ターンは9のクラブでフルハウスが完成しました。フロップの時にレイズがないので、相手はTT、99は持っていないいはずです。それでフラッシュが完成するカードが落ちたのでフラッシュで興奮している人がいるかも知れない。そこで僕はベットをして、1人コールにSBからレイズが入りました。

BBでSBに対してポジションがあるので、リバーもベットしてくれるかもしれないと思い、コールをしたら、

リバーは4枚目のクラブが落ちました。だから相手はAハイフラッシュで興奮しているかもしれない。

それで相手からベットがきて、相手はプリフロップの時リンプなので99、TTはいないはず。僕はナッツだと心から思って、レイズをしたら、1人降りて、SBのプレイヤーがリレイズ、僕はオールインをしました。

ショーダウンとなったので見てみると、相手のハンドからT9が出て来ました。。。

絶対にTTと99は持っていないと思っていたらT9が出て来て、「負けてる….?」となりました。僕は相手の3ベットに対してオールインをする意味が無かったですよね。流石に3ベットにはコールで良かったです。

その時は帰りの飛行機まで2時間くらいあったのですが、ポーカーをせずに放心状態でロビーに2時間居ました。

僕たちはポーカープロなので勝っているか負けているかは関係なく、期待値を積み続けるためにどんなことがあろうと一喜一憂せず、ポーカーテーブルに長時間座るのが正義なんです。

それにも関わらず、その時はリバイをせずにロビーに座ってそのまま飛行機に乗って帰りましたね。

その後、プロになってから長期で負けたことはありますか?

1ヶ月単位で見ると、2回目の時から負けたことはありません。けれど2年くらい勝ち続けるまで自分が勝てるレベルなのかどうか自信は持てなかったです。

一生、上振れているだけの可能性もあるなと日々泣きながら勉強をしていましたね。それで2年経った時、先輩プロに「僕は勝てるレベルですか?」と聞いたら「流石に勝てるんじゃないですか」と返事を貰え、やっと自分で勝てると思いましたね。

その時からポーカーに集中するためお店を閉め、ポーカー1本でやることを決めました。

なぜミックスゲームに転向したのですか?

2019年の7月に、尊敬するプロが「ミックスの方が絶対向いてるよ!ミックスの日本人レジェンドプロに最も素質が近いのはともさんやと思う!」と言ってくれたのがきっかけで始めました。

その方は嘘を言うような人でもなく、そのように思ってくれることが嬉しくて本気でやろうとなりましたね。

それでプレイしてみたら、確かにノーリミットホールデムよりミックスゲームの方が向いているな。僕はノーリミットホールデムではなかったなとそこで気づきました。木原さんも5、6年前から「絶対ともさんこっちの方が向いてるよ」と言ってくれていて、いざ始めてみたら、もっと早くプレイしていれば良かったなと思いましたね。

編集後記

2年勝ち続けても必死に勉強していたというポーカーに対する真っ直ぐな姿勢に驚かされました。特に初めてのカジノで格下だと思っていた相手に負けてしまったにも関わらず必死で対策をたてて、次は勝つことができたと言う話を聞いた時は、これこそがポーカープロになるために重要な資質だと痛感しました。

これからポーカープロになりたい方は是非、負野智光さんのポーカーに対する姿勢を参考にしてみて下さい。

取材・文/三輪 歩夢